2010年2月1日月曜日

NO MAN'S LAND

前夜、突然のお誘いを受け、フランス大使館旧庁舎で2月18日まで開催されている「NO MAN'S LAND」展(http://www.ambafrance-jp.org/spip.php?article3719)へ。


フランスは旅行や短期留学で数回行ったことがあるものの、ビザを取得する必要がなかったので、大使館を訪れるのは今回が初めて。昨年11月に移転済の新庁舎はすぐお隣にありました。

旧庁舎は貫禄の1957年ヴィンテージ。取り壊し後は高級レジデンスが建つそう。
今日までの予定だった展示期間が半月も延期になった、というのがうなずけるほどの人。アート好きの若者ばかりかと思っていたけど、意外と家族連れが多い。

入場制限があったので整理券を受け取って1時間待った後、ニコラ・ビュフ作のNo Man's Land Gateをくぐり、旧大使館のセキュリティーゲートを通って入場


矢印の先には、前庭からノー・マンズ・ランドが広がります。


役目を終えてあとは取り壊されるのを待つだけの年老いた建物と、若手の日仏アーティストと学生の作品たち。その対比が切ないような、温かいような・・・


職員でなければ入る機会がほとんどない大使館の中には、小さな部屋が沢山並んでいました。「これは何のための部屋だったんだろう?」と推測しながら巡るのも楽しい。美術館で整然と並んだ作品を大人しく観て回るのとは違い、アーティストの表現手法も見る方の鑑賞方法ものびのび。興奮した子供たちは走り回る!

松井えり菜さんの作品は、取り壊し後の旧大使館跡をイメージ。大使館の庭に実際生えていた苔が床に敷き詰められています。貼り紙に「週末は居ます」と書いてありましたが、残念ながら今日は不在。ウーパールーパーの頭や、マリー・アントワネットのドレスは、ご本人が着用されるそう。


展覧会の期間、ずっと創作活動を続けているアーティストも居ます。中島崇さんのお部屋では、ぐんぐん成長した色紙の植物が窓からはみ出して外壁まで浸食中。数時間後に写真を撮りに入ると、もう景色が違ってましたよ。面白い。


はっとさせられたのは、佐藤百合子さんの作品。無数の陶器の羊が、真ん中に置いてあるノートを見つめています。一つ一つ見るとかわいい羊なのに、みんな同じ方向を向いていて何だか怖い・・・

羊はそれぞれ一人では弱く無力な人間、集団の威圧感は不正を正すこともできる強さを表していて、日本人が無関心で力を合わせようともしないことを揶揄。


社会や自然環境の再生を訴えるリバース・プロジェクト(http://www.rebirth-project.jp/)は、廃材などの「いらないもの」を使った製品の展示と、リバース・カフェを出店。本館入ってすぐ右のスペース。

代表の伊勢谷さんとも直接お話できました。彼は彼が演じた次郎に負けず劣らず、熱い。「人のため、地球のため、愛情を持って社会を救うのが僕の『プリンシプル』」と新聞のインタビューにも答えていたけど、理屈をこねるんじゃなく、自分たちにできることを、楽しみつつ、ずっと続けられるスタイルでやっていこうとしているのが、何かいい。「理想だけど・・・」と語る横顔が美しすぎました。

実は、Twitterの「伊勢谷友介、やっぱりいい」というつぶやきを偶然見た友人が誘ってくれたのでした。つぶやいてみるもんですね。彼は、ほんとにいい。

日も落ちて、ライトアップされたムッシュー・シャ(Monsieur Chat、直訳すると猫氏?)の壁画。後ろ髪を引かれつつ、退場~


ディズニーランドみたいに、時間が足りなかった。また行こうかな。

NO MAN'S LAND
創造と破壊@フランス大使館-最初で最後の一般公開
http://www.ambafrance-jp.org/spip.php?article3719

リバース・プロジェクト-REBIRTH PROJECT-
http://www.rebirth-project.jp/