2010年2月28日日曜日

銀座 Arbace

篆刻教室のあと、ワインスクールの先生や同級生と、銀座Arbace(http://r.tabelog.com/tokyo/A1301/A130101/13002531/)へ。

なかなか行けないお店、という話だったので、いつもように携帯で撮るのもはばかられ・・・今回は写真少なめ、文字多めです。


一番左は、de Canteneur Brut(ドゥ・カントナール・ブリュット) 。エペルネ近郊で造られたシャンパーニュ。シャルドネ60%、ピノ・ ノワール30%、ピノ・ムニエ10%。フレッシュな果実味が主体。

シャンパーニュと合わせていただいたアミューズは、いずれも一口大のフロマージュ・ド・テット、タプナードのフリット、そしてキャラメリゼしたプチトマト。

左から2番目は、Pouilly Fume Chatelain Prestage(プイィ・フュメ・シャトラン・プレステージ)、2005年。フランス、ロワール地方の白。ソーヴィニヨン・ブラン100%。プイィは村名、フュメはフランス語で煙の意味。火打ち石を連想させるスモーキーなニュアンスがあって、ミネラルと酸が豊富。

プイィ・フュメと一緒にいただいたのは、スモークした金目鯛のカルパッチョ仕立てと野菜のサラダ。

真ん中は、Ch. La Louviere Blanc (シャトー・ラ・ルーヴィエール・ブラン)、2004年。フランス、ボルドー地方、ペサック・レオニャン地区の白。ソーヴィニヨン・ブラン主体で、セミヨンも。肉厚で、樽の香ばしいニュアンスが感じられる、しっかりした味わい。

一緒にいただいたのが、冬蕪のじっくりローストと牡蠣のナージュ、白ワイン風味。じっくりローストされた蕪は食感がさくさく!ナージュは、泳がせる、という意味。白いスープの中を牡蠣が泳いでる。

そして、クミンの香りのどんこ椎茸と白子のパネ、春菊ソース。何層にも折り重なった個性の強い素材の味とスパイスの風味が、複雑な味わいのワインによって次々と引き出される感じ。まさに、マリアージュです。

右から二番目は。Ch. Montus Rouge(シャトー・モンテュス・ルージュ)、2001年。これは、ブラインドでテイスティング。色がとっても濃くて、赤黒いよく熟れたチェリーや果実のリキュール、ダークチョコレートのような凝縮感があるけど、新世界ほど甘みが強くない・・・答えは、フランス南西地方、マディランの赤。タナ80%、カベルネ・ソーヴィニヨン20%。トム・クルーズが自家用ジェット機で買い付けに来るほどのお気に入り、とか。やっぱりアメリカ人は濃ゆいのが好きなのかな~

そして最後は、ヴォーヌ・ロマネ、ドメーヌ・ジョルジュ・ノエラ(Vosne Romanee, Domaine George Noellat)、1995年。 ビターなオレンジリキュールや、なめし革のニュアンス。熟成感があって、好きなタイプ。「シャトー・モンテュスよりこっちが好き、という人は高くつく」と言われたけど、仕方ない!

赤と一緒にいただいたメインは、シャラン産鴨のローストとフォアグラ&ポワローのポワレ、カルダモン風味。ワインもますますおいしくて、本当に至福の時・・・


デザートは、モンブランとストロベリーのアイスクリーム。


プティフールとエスプレッソで、しあわせな時間はおしまい。
仕事柄、「真剣な顔して飲んでる」と指摘されたエスプレッソも、泡がクリーミーで甘みがあっておいしかった~

ぜいたくなことに、オーナーでソムリエの仲田勝男さんと、ソムリエールの久志本仁美さんがお二人でサービスして下さいました。お二人の気さくで気取らない雰囲気が、高級店だということを忘れさせてくれて。供するのはフランスのワインだけとのことですが、お料理に合わせてそれほど高級でないワインも紹介することがあるそう。ワイン好きにはたまりません。

お店を出たとき、ニューヨークのフレンチレストラン、Bouleyに両親と行ったときのことを思い出しました。星付きで敷居が高いスター・シェフの店、と緊張して行ったのに、本当に居心地が良かったんだよね~

もう一度来たい、と思わせるお店は、味だけが理由ではないんだな。
でも、どちらのお店もまた行くのはなかなか難しそう。



篆刻(てんこく)教室

中山天藍先生(http://www.tenran.com/)をお招きしての篆刻(てんこく)教室へ。昨年から通っている、武田双龍先生の「ふたばの街書道教室」(http://so-ryu.com/futaba_machi.html)にて。

篆刻(てんこく)とは、木や石などの印材に篆書体という古代文字を彫って、書画などに用いる印章を作ること。7月の作品展に向けての準備の一つです。

お道具。木でできた印床(いんしょう)は、印材を挟んで効率的に力を加えるためのもの。印床の下に敷いてあるマットは、印褥(いんじょく)。細い彫刻刀のようなのが、印刀(いんとう)。薄いブルーの紙は、印箋(いんせん)、印を押す紙。歯ブラシは彫ったときに出る石くずを払うのに使います。

麻ひもと黒い紙、ビニール袋はお持ち帰りのラッピング用です。



使ったのは石の印材。あらかじめ、名前の文字を鉛筆で書いてくれてました。
先生によると、印の仕上がりは石の個性による部分が大きいそう。石が固くて彫りが進みづらかったり、欠けたりするのがいいらしい。


まずは、1センチ角くらいの印材に、直線と曲線の組み合わせでできた、アルファベットの「D」を練習。V字の溝になるように彫っていきます。


思い切り良くガンガン彫っていたら、先生に「欲張りですね。少しずつ刃を進めていけばいいんですよ」と諭されてしまいました。とても穏やかな方です。

少し慣れたところで、いよいよ本番。やりなおしがきかないので、みんな真剣。
静寂の中、たまに「あっ!」という声が上がります。疲れてふっと気を抜くとガリッといらないヒゲが彫れてしまいます・・・


印を押すときには、朱肉ではなく印泥(いんでい)を使います。
他のお道具はお借りしましたが、印泥だけは購入。値段はピンキリで、半永久的に使える、とのこと。小さなへらでしばらくこねて、おだんご状にしたところに印をぽんぽんと叩きつけるようにします。


できあがり~
印を押すのにもコツがあるようで、まだ上手く押せてませんね。


2時間半、かなり集中。ものづくりは本当に楽しい。
そのせいか、まだ彫っている夢を見ました・・・




2010年2月20日土曜日

甘ずっぱい、恋ずっぱい

金曜の夜に23時近くまで残業・・・。最後まで残っていた二人で「何か食べて帰ろうよ~」と、家庭料理まつ(http://r.tabelog.com/tokyo/A1309/A130901/13054955/)へ。

時間も遅いし、それぞれ生ビールと梅酒のロックを一杯だけ。それから、心と体をほぐしてくれる、あったかいごはん!

もちろん自炊はするけど、誰かが作ってくれる家庭の味は、一人暮らしの私たちには最高の癒し。家族に「しばらく会ってないな~」とかしみじみ話しながら・・・

まつは、鮪のづけ丼風の手ごね寿司がおいしい。時間が遅くてもう鮪の残りが少ないんですよ~、と言いつつ、半人前で作ってくれました。お店の人とのやりとりが、田舎の親戚の家に行ったみたいでほっとします。



豆鯵の南蛮漬け。
疲れたときは酸っぱいもの。カルシウムもイライラをしずめてくれたかな。


肉じゃが。薄味で、汁けが多めなのが好み。


それから、ポテトサラダ。



一日の終わりはまつのごはん、そして日中もボスが一粒ずつくれた、小梅ちゃんキャンディ(http://www.lotte.co.jp/products/brand/koume/index.html)が嫌なことを忘れさせてくれました。

そのひみつは、個包装のパッケージ裏に書かれた一言。



携帯サイトで募集した「小梅恋の川柳」の優秀作品だそう。短い言葉、少ない文字数だからこそ伝わることってあると思う。それができるのは日本語だからこそ。

たびたび、せつなく胸がしめつけられるような気持ちになった一日でした。



2010年2月14日日曜日

美容部 牡蠣とバレンタインの会

映画『サヨナライツカ』鑑賞会から1週間。今週の美容部は六本木DESERT(http://www.desert-tokyo.net/)へ。

一番のお目当ては「サロマ湖産 牡蠣食べ放題(60分)」。牡蠣には新陳代謝を活発にして、しみ・そばかすの元となるメラニン色素の代謝を促す美肌に良い亜鉛がたっぷり。さらに、牡蠣のたんぱく質に含まれるアミノ酸には、デトックス効果も・・・まさに、美容部メンバー垂涎の食材。

まずは生牡蠣、続いて蒸し牡蠣が人数分運ばれてきて(この日は6名で大皿が2皿ずつ)。あとは、お好みで「生」か「蒸し」か好きな方をオーダーできます。



シャブリよりお手頃だった、サンセールのソーヴィニヨン・ブラン。
Pascal Jolivet Attitude
ライムやレモンのような柑橘系のさわやかさが、ヴィネガーで食べた牡蠣と相性ぴったり。飲み始めより、氷たっぷりのワインクーラーでしっかり冷やしてからの方がおいしかったね。



海老とまるごとアボカドマヨネーズソース。
まるごと数個分のアボカドがたっぷり。アボカドも、ビタミンCはもちろん、抗酸化作用のあるビタミンEも1日に必要な量の3分の1(1個あたり)も含まれていて、美容部にはうれしい食材の一つ。



農家のお野菜バーニャカウダ。
大阪しろな、マイクロかぶ、栄(えい)ちゃんトマト、などのめずらしい野菜たち。温めたバーニャカウダソースにつけて食べます。
トマト好きとしては栄ちゃんトマトがたまりませんでした~名前も良い!



2本めは、ちょうどお店でフェアをやっていたモルドバ共和国のワイン。
Chardonnay de Purcari 2003
まろやかでもっちり、ふっくらとした味わいのシャルドネ。
バーニャカウダソースに意外に合う!

モルドバは東ヨーロッパの黒海の西、ルーマニアとウクライナに挟まれた国。紀元前にローマ人が移住して造ったワインをヨーロッパ王侯貴族が愛飲したとか。



赤海老トマトソースパスタ。
大盛りを頼んだのに、あっという間に無くなったのでもう一皿追加。
もちろん、大盛りで~



ガールズトークもヒートアップ、そろそろ本題へ。この日の大切なアジェンダは・・・そう、バレンタイン!ひとりひとり、特別参加(?)のボスへプレゼント。

左手奥から、一の蔵「すず音」&WONKAバレンタインチョコレート、ワインに漬け込んだレーズン入りのメルローワインチョコレート&Merlot Vin de Pays d'Oc、福井県の吟醸酒・黒龍を練りこんだ森八大名閣の生チョコ「 酔(すい)」、手前左から、フレデリック・カッセルのボンボンショコラ、そして、ハートのラベルのチーズ「Le Roucoulons」&チューリップ型のロリポップチョコレート



シメに、あつあつガトーショコラ、ぷるぷるパンナコッタ、マスカルポーネチーズアイスをシェア。

最初は「隣のテーブルがうるさい」と文句を言ってたのに、いつの間にか自分たちがお店の中で一番盛り上がってました。放課後の部活はやっぱり楽しい~



これ見よがしにバレンタインチョコらしき赤やピンクの紙袋をぶら下げて帰るしょぼくれたサラリーマンが多い中、PCバッグの中に荷物を小さくをまとめてスマートに立ち去ったボス・・・流石でした!

ちなみに、フレデリック・カッセルのボンボン・ショコラは、先日、伊勢丹のサロン・デュ・ショコラのトークショー&デモンストレーションに行ったときに選んだもの。



カッセルさんは、フランスで創設されたパティシエとショコラティエの協会、ルレ・デセール(Relais Desserts)の会長で、パリ郊外のフォンテーヌブロー、そして日本では京都のハイアット・リージェンシーにお店を構えているそう。


コーティングに使うベネズエラのオクマレ産カカオで造った板チョコ、そしてグランマルニエ入りプラリネのボンボン・ショコラをグランマルニエに合わせて試食。

カカオ豆の産地の話、品種のブレンド、マリアージュなどの楽しみ方・・・コーヒーやワインと似ているところがあって、面白い。
フランス語のリスニングも久しぶりでした~


「本当は芸術家になりたかったんだけど、気になる女の子がいた隣の洋菓子店で職業体験をしたのをきっかけにパティシエになったんだ」、「妻との結婚は、交通事故に合った彼女を助けて、そのあと病院へ当時働いていたフォーションのケーキを持ってお見舞いに行ったのがきっかけ」、などなど、キュートなエピソードを披露しつつ、チョコレートで絵を描くデモンストレーション。


出来上がった作品は、カッセルさんの大好きな(というか、ご自身がモデル?)エンジェルがモチーフ。ショコラの箱に描かれたエンジェルも、彼の作品だそう。


いつか、フォンテーヌブローのお店に行ってみたいな~




2010年2月11日木曜日

2月バースデーワイン会

ワインスクールの授業後、クラスメート3人の2月のお誕生日祝いに、ABASQUE(http://www.esdesign.biz/)へ。ご実家が精肉店を営むシェフのバスク地方のビストロ料理と、シニアソムリエが選ぶワインのお店です。

祝日のお休みの前日はお店を見つけるのも難しそう、と、人数を10人にしぼっていたものの、小ぢんまりとしたお店だったのでぎゅうぎゅう肩を寄せ合って着席。

かわいい器に盛られた前菜。左からタコとトマトのマリネ、オリーブの塩漬け、レバーのペースト、ポテトのグラタン、アンチョビのペースト。




乾杯は、昨年末の授業でも飲んだシャンパーニュ。
Champagne GUY CHARLEMAGNE
Grand Cru Blanc de Blanc Reserve Brut NV
シャルドネ100%。青リンゴやライムの果実味がはじける感じで、シュッとしたスタイリッシュな印象。




授業でブルゴーニュの白を6種類飲んだ後だったのですぐにでも赤を!という声も多かったのですが、おすすめの中から選んだ白はスペインはルエダのベルデホ。
PRIOS Rueda Maximus Verdejo 2008
フルーティーで少しナッツのような風味。



アバスク風キッシュ。お店で一番人気、シェフの実家の精肉店で熟成させた、ヴァントレッシュ(バスク豚のベーコン)を使っているそう。ふわふわ、とろ~り。



おまちかねの赤は、スペインのガルナッチャ主体のドン・ラモン。
Don Ramon 2006 Bodegas Aragonesas DO campo de Borja
ガルナッチャ75%、テンプラニーリョ25%。想像したよりまろやかだったのは、スチールタンクで1年、瓶で9ヶ月以上、という熟成のせいかな。
ボトルのデザインがスペインらしくてかわいい!



たこ焼きみたいにころころ丸いかたちは、鱈のコロッケ。
ほんのりトマト味のソースが、スペインワインにぴったり。


アバスク風自家製ソーセージと、サラダ。
ソーセージは脂が濃厚・・・肉食のみなさんにはたまらない感じ?



エチケット(ラベル)が見えないようにして、ブラインドで出していただいた赤。
Beaujolais Villages AOC JULIENAS Paul Raitz 1998
ラズベリーなどの赤い果実・・・でもピノほど酸味は強くなくて。ガメイ100%と聞けば、少しバナナの皮のような香りもするかなあ・・・と、正直言って全然分かりませんでした。1998年は私が社会人になった年。このワインも同じ年月を重ねて、こなれてしっかりとしたワインに育ってました。おいしい。



バスク豚のロースト、にんじんのグラッセ添え
バースデーガールがリクエストしたバスク豚は、やわらかいのにしっかり引きしまったお肉。美味しい脂がしっかりしみ込んだにんじんは翌朝しみじみ思いだしてしまったくらいのおいしさでした!



そして、バスク豚のローストに合わせて選んだのは、テンプラニーリョ主体の赤。
DOC Rioja MURUA Reserva 2001
テンプラニーリョ90%、グラシアーノ8%、マスエロ2%。バスク豚とマリアージュする口当たりの柔らかさで、余韻もしっかり。リオハの熟成感はないけど、スペインらしい楽しい味わいのワインでした。




鮮魚のポワレと魚介のパエリアには、微発泡のロゼを合わせて。
Ameztoi Rubentis Getariako Txakolina
バスク地方の地品種、オンダリビで造ったとてもめずらしいロゼワイン。「注ぎ方が独特」らしいのですが、離席していたので残念ながら見られず。上の方からデキャンタ-ジュするように注ぐとか。




今日は大きめのバースデープレート。3人分です。あったかいいちご、バニラとキャラメルのソルベ、チョコレートプリン、そして栗のガトーバスク。おめでとう!




ここでいったんお誕生会はお開き。寒空の中、5人は終電に急ぎました。

まだまだ飲む気たっぷりに残った5人でさらに1本。
Morey-Saint-Denis 1er Cru Clos Sorbe Francois Legros 2005
当たり年の2005年だけあって、しっかりとしていて香りにも味にも厚みと複雑さが。でも、ピノらしさがあまり感じられず・・・もう少し寝かせてもいいんじゃないかな~。だけどやっぱりいいワインは飽きずに飲んでしまう。




スクールで秋から受講しているコースも残りわずか。
この日も含め、ブルゴーニュとボルドーが2回ずつ、そして修了試験で終わり。
でも、変わらずみんなで集まって飲みたいよね!




2010年2月6日土曜日

美容部 映画『サヨナライツカ』観賞会

切なく上映中・・・と噂の、映画『サヨナライツカ』を観に、金曜夜の新宿へ。



主演は12年ぶりのスクリーン復帰が話題の中山美穂と西島秀俊。
原作は辻仁成、監督は『私の頭の中の消しゴム』のイ・ジェハン。

映画の公開前から原作本を貸し借りしたり、公式ホームページをチェックしたり、かなり期待に胸を膨らませていた美容部一同。涙を拭くためのハンカチ、いや厚手のタオルを持ってくるべきだった~と始まる前から過剰なテンション。
かく言う私も、この日は朝からアイメイクなしで臨んだのですが・・・

観終わった感想は、残念ながら・・・切なさ足らず。

「25年後」以降の話が長すぎて、そして老け顔メイクと演技が唐突かつ不自然すぎて、「切なく悲しい恋」ではなく、「切なく哀しい老い」がテーマとして強調されてしまっていたような気が。『私の頭の中の消しゴム』も主人公が若年性痴ほう症になる、という話だったし、ラブストーリーの中に社会派のメッセージを入れ込んで、「現実」の切なさを伝えるのが監督のスタイルなのか、と思ったり。抱き合う二人の周りをぐるぐる回るカメラワークも・・・にしても、今回はちょっと回りすぎでした~

帰りの電車の中で、十数年前に受けた大学のマーケティングの授業で「満足度=実現値÷期待値」と習ったことを思い出しました。何事も、期待し過ぎてはいけない、あるいは、させすぎてはいけない、ということか。

映画の『ノルウェイの森』も観るべきかどうか、今から悩んでます。

ちなみにみなさんは、死ぬ前に誰かを「愛したことを思い出す」か、「愛されたことを思い出す」か、どちらですか?




2010年2月1日月曜日

NO MAN'S LAND

前夜、突然のお誘いを受け、フランス大使館旧庁舎で2月18日まで開催されている「NO MAN'S LAND」展(http://www.ambafrance-jp.org/spip.php?article3719)へ。


フランスは旅行や短期留学で数回行ったことがあるものの、ビザを取得する必要がなかったので、大使館を訪れるのは今回が初めて。昨年11月に移転済の新庁舎はすぐお隣にありました。

旧庁舎は貫禄の1957年ヴィンテージ。取り壊し後は高級レジデンスが建つそう。
今日までの予定だった展示期間が半月も延期になった、というのがうなずけるほどの人。アート好きの若者ばかりかと思っていたけど、意外と家族連れが多い。

入場制限があったので整理券を受け取って1時間待った後、ニコラ・ビュフ作のNo Man's Land Gateをくぐり、旧大使館のセキュリティーゲートを通って入場


矢印の先には、前庭からノー・マンズ・ランドが広がります。


役目を終えてあとは取り壊されるのを待つだけの年老いた建物と、若手の日仏アーティストと学生の作品たち。その対比が切ないような、温かいような・・・


職員でなければ入る機会がほとんどない大使館の中には、小さな部屋が沢山並んでいました。「これは何のための部屋だったんだろう?」と推測しながら巡るのも楽しい。美術館で整然と並んだ作品を大人しく観て回るのとは違い、アーティストの表現手法も見る方の鑑賞方法ものびのび。興奮した子供たちは走り回る!

松井えり菜さんの作品は、取り壊し後の旧大使館跡をイメージ。大使館の庭に実際生えていた苔が床に敷き詰められています。貼り紙に「週末は居ます」と書いてありましたが、残念ながら今日は不在。ウーパールーパーの頭や、マリー・アントワネットのドレスは、ご本人が着用されるそう。


展覧会の期間、ずっと創作活動を続けているアーティストも居ます。中島崇さんのお部屋では、ぐんぐん成長した色紙の植物が窓からはみ出して外壁まで浸食中。数時間後に写真を撮りに入ると、もう景色が違ってましたよ。面白い。


はっとさせられたのは、佐藤百合子さんの作品。無数の陶器の羊が、真ん中に置いてあるノートを見つめています。一つ一つ見るとかわいい羊なのに、みんな同じ方向を向いていて何だか怖い・・・

羊はそれぞれ一人では弱く無力な人間、集団の威圧感は不正を正すこともできる強さを表していて、日本人が無関心で力を合わせようともしないことを揶揄。


社会や自然環境の再生を訴えるリバース・プロジェクト(http://www.rebirth-project.jp/)は、廃材などの「いらないもの」を使った製品の展示と、リバース・カフェを出店。本館入ってすぐ右のスペース。

代表の伊勢谷さんとも直接お話できました。彼は彼が演じた次郎に負けず劣らず、熱い。「人のため、地球のため、愛情を持って社会を救うのが僕の『プリンシプル』」と新聞のインタビューにも答えていたけど、理屈をこねるんじゃなく、自分たちにできることを、楽しみつつ、ずっと続けられるスタイルでやっていこうとしているのが、何かいい。「理想だけど・・・」と語る横顔が美しすぎました。

実は、Twitterの「伊勢谷友介、やっぱりいい」というつぶやきを偶然見た友人が誘ってくれたのでした。つぶやいてみるもんですね。彼は、ほんとにいい。

日も落ちて、ライトアップされたムッシュー・シャ(Monsieur Chat、直訳すると猫氏?)の壁画。後ろ髪を引かれつつ、退場~


ディズニーランドみたいに、時間が足りなかった。また行こうかな。

NO MAN'S LAND
創造と破壊@フランス大使館-最初で最後の一般公開
http://www.ambafrance-jp.org/spip.php?article3719

リバース・プロジェクト-REBIRTH PROJECT-
http://www.rebirth-project.jp/