2010年10月6日水曜日

伊地方料理とワイン ヴェネト州

実践マリアージュイタリア地方料理とワイン(前編)」が始まりました。教室ではなく、青山のIVY HALLにて。

春学期に人気だったフランス編につづき、ソムリエ協会の教本に載っているイタリアの代表的なワインと料理とのマリアージュを次々に試す講座です。先生の講義は最初の20分ほどで、あとはひたすら飲んで食べるだけ!

1回は、イタリアで生産量が1位(2008年)のヴェネト州。平地が多く、野生でなく飼育した牛や羊などを食べるので、軽めの赤ワインが多く生産されています。


州都は「水の都」として有名な、ヴェネツィア。十字軍の頃には「アドリア海の女王」と呼ばれるほどに栄えたそう。学生時代に2回も訪れたものの、貧乏旅行だったのと、今ほどお酒を飲まなかったので、ワインにまつわる思い出はありません。ただ、不味いツーリストメニューに耐えきれず、勇気を出して裏通りの地元の人が行くようなレストランに入ってみたらとんでもなく美味しかった記憶が!夜になるとオレンジ色の街灯に水路が張り巡らされた街並みが迷路のように浮かび上がって、そこらじゅうに飾ってあるカーニバルのお面も幻想的でした。

1つめのマリアージュは・・・

Baccala alla Vicentina(バッカラ・アッラ・ヴィチェンティーナ)
干し鱈のヴィチェンツァ風

ヴィチェンツァは山岳地帯にあるので、保存食として干し鱈を良く食べるのだとか。乾燥して固いので、水で戻すのに3日もかかるんだそう。薄切りオニオンとアンチョビ、ケッパーを甘く炒め、干し鱈と牛乳と加えて煮てあります。とうもろこしの粉で作った付け合わせのポレンタもヴェネトの味。


BERTANI 2009 Soave Classico DOC, Bertani

ソアーヴェはガルガーネガ種主体。軽めの味わいの普通のソアーヴェと比べて、伝統ある地域・手法のクラッシコは、より個性が豊かだと言われています。干し鱈の魚臭さをさっぱりと洗い流してくれる、さわやかだけどしっかりした味わい。


2つめのマリアージュは・・・

Fegato alla Veneziana(フェガト・アッラ・ヴェネツィアーナ)
仔牛のレバーと玉ねぎのソテー、ヴェネツィア風

「フェガト」は仔牛のレバーのこと。しかし、仔牛のレバーが輸入できないそうで、鶏白レバーで代用。オニオン、アンチョビ、ニンニクをソテーして白ワインを加え、ムニエルにしたレバーを合わせてあります。


Le Bine 2006 Valpolicella DOC, Campagnola

ヴァルポリチェッラはコルヴィーナ種主体。とにかくフルーティーで、ジャムっぽさを感じるほど。炒めたオニオンの甘みとよく合います。


3つめのマリアージュは・・・

Pasticciata di Cavallo(パスティッチャータ・ディ・カヴァッロ)
馬肉の煮込み、ヴェローナ風

「パスティッチャータ」とは、こねまわす、かきまわす、という意味。ヴェネト州では一般に馬肉を食べないのですが、「ロミオとジュリエット」の舞台として有名なヴェローナでだけは食べるのだそう。馬だけでなく、なんとロバも!しかし、こちらも馬のすね肉が入荷できず、牛フィレ肉で代用したとのこと。となると、もはや別の料理な気がしますが・・・パプリカ、トマトペーストで味付けし、赤ワイン、スッコ・デ・カルネ(お肉でとったスープ)を加えて煮込み、最後に生クリーム。


2008 Valpolicella Classico DOC, Viviani

ヴァルポリチェッラ同様、クラッシコもコルヴィーナ種主体。フルーティーなヴァルポリチェッラと比べて、黒オリーブっぽい、少し鉄っぽいニュアンスが感じられる、より複雑な味わい。この日飲んだ中では、一番このワインが好きでした。


4つめのマリーアジュは・・・

Pollo alla Padovana(ポッロ・アッラ・パドヴァーナ)
鶏のロースト香辛料風味パドヴァ風

鶏肉を、オニオン、サラミ、アンチョビ、ケッパーとロースト。ソースはローストしたときに出る鶏の煮汁だけなので、かなりシンプルなお料理。


IRENEO 2003 Colli Euganei DOC, Conte Emo Capodilista

カベルネ・ソーヴィニヨン。「メルロー主体・・・」という説明が聞こえた気がして、にしては収斂性があるね~なんて話していたら、ラベルにしっかり書いてある!アルコリックで骨太、時間が経つにつれて味わいが変わっていきます。この日、一番長い時間楽しめたワイン。ただ、お料理とのマリアージュはイマイチ。メルロー主体のワインの方が合うだろうな~


5つめのマリアージュは・・・

Risi e Bisi(リーシ・エ・ビーシ)
グリーン・ピースとベーコン入りリゾット風

来たっ!定番中の定番。ソアーヴェに合う♡と噂、楽しみにしてました。ヴェネト州ではお米をよく食べるそうで、春の一皿といったところ。直訳すると、「米と豆」。「リゾット風」は分かりやすく付け足したのかな~お米を透き通るまでオリーブオイルで炒め、パンチェッタとブイヨンを加えて煮て、パルミジャーノ・レッジャーノとグリーン・ピースを加えて味を調える。さらに、パルミジャーノを散らして。

2009 Soave, Tenuta S. Antonio

普通のソアーヴェ。軽快な味わい。グリーン・ピースのちょっと野菜臭い感じが無くなります。一番、何てことないワインと何てことないお料理な気がするのですが、お互い引き立てあって美味しい。


6つめのマリアージュは・・・

Carpaccio(カルパッチョ)
生の牛肉のマヨネーズソースがけ


もはや日本語訳も要らないくらい有名なカルパッチョ。魚介類のイメージが強いですが、もともとは牛肉料理です。発祥の地は、文豪ヘミングウェイが愛した、と言われる、ハリーズ・バーというヴェネツィアにあるリストランテ。1963年に加熱処理した固い肉が食べられないという常連客のために、生の牛フィレ肉を薄切りにしてマヨネーズベースのソースをかけて出したのがはじまりだそう。料理名は、当時、ヴェネツェイアで展覧会が行われていた、赤と白の色使いが特徴のヴィットーレ・カルパッチョという画家の名前にちなんだもの・・・って、どこまで本当かな?

Infinito 2007 Bardolino Chiaretto, Santi

ソアーヴェ、ヴァルポリチェッラと並んでヴェネト州で有名な銘柄がバルドリーノ。ヴァルポリチェッラと同じく、コルヴィーナ種主体。「キアレット」は明るい色調のロゼのこと。キュートなサーモンピンクの外観に反して、タンニンはしっかりめの辛口。アジアンフードにも合いそうです。


同じぶどうから造ったワインでも、こんなに色が違うんですよ~


ワインはテーブルに各1本ずつ、お料理はブッフェ形式のセルフサービス。食べ放題、飲み放題です。でも、一皿ずつ運んできてくれた方が落ち着く・・・


1カ月に一度のこの授業、まだ受講者を募集してるみたいですよ~