コスを後にし、左手にラフォン・ロシェ(4級)の畑を眺めながら走ります。
29km地点、ル・クロック(2003年クリュ・ブルジョワ・シュペリウール、2008年格付け無し)に到着。
レオヴィル・ポワフェレ(2級)のオーナー、キュヴェリエ家が所有するシャトーです。直線距離ではモンローズ(2級)に近く、1855年の格付けの際、ファーストリストでは5級に格付けされていたそう。
30kmを目前に、マッサージを受けるへとへとランナーと、酔っぱらって踊るふらふらランナーが好対照になってきました。衣装もメイクも壊れたり崩れたり、ぐだぐだ…
地元の方々は、沿道で宴会がてら応援。酔っぱらいランナーがいちいち絡みます。
小高い坂を上ったところに、オー・マルビュゼ(2003年クリュ・ブルジョワ・エクセプショネル、2008年格付け無し)。「神の雫」24巻に登場し、雫くんが「大きな座り心地の良いソファー」と形容したワインですが、残念ながら給水所は見当たらず…
バイクで追っかけて来ていた中継のカメラを囲んで、大盛り上がり!肩車しているしましまのおじさんたちは、この後しばらく「Allez for SAKE!(お酒のためにがんばれ!)」と励ましながら一緒に走ってくれました。
少し下って左折したところに、マルビュゼ(2003年クリュ・ブルジョワ、2008年格付け無し)。1993年までは、コス・デストゥルネルの樹齢20年未満の樹のぶどうで造られるセカンドラベルでした。
広大なぶどう畑の中にランナーの頭がちらちら見えます。
小雨がぱらついていた午前中の涼しさが嘘のように、とにかく暑い。当然ながら、ぶどう畑の中は日陰がありません。ぶどうの気持ちになって走ります。ポンテ・カネ以来、水の給水所が無く(コス・ラボリはワインのみ)、ミネラルウォーターのボトルを1本もらっておけば良かった…と後悔。
ようやく、次のシャトーを発見。あまり日本ではお目にかからない、ポミー(2003年&2008年クリュ・ブルジョワ)です。
美しいシャトー。レストラン併設のホテルがあるみたいですよ。
オルム・ド・ペズ(2003年クリュ・ブルジョワ・エクセプショネル、2008年格付け無し)の看板。ランシュ・バージュのカーズ家が所有するシャトーですが、建物は見当たらず…しばらく、ぶどう畑の中にシャトー名の看板だけが立っている状態が続きます。
32km地点を超えて、トロンコワ・ラランド(2003年クリュ・ブルジョワ・シュペリエール、2008年格付け無し)へ。お水、あるかな~
10杯めは、雫くんが「美少年」と評したワイン。おいしい~
こんなに喉がカラッカラの状態で、パンとは!食文化の違いを感じた瞬間。
カロン・セギュール(3級)の看板を発見。やっと、ここまで来た~カロン・セギュールは、サン・テステフでも最も河口に近い、つまり土壌に水はけの悪い粘土が多い場所に位置する格付けシャトー。ハートマークのエチケットのせいか日本ではとってもお高いですが、がっかり率が高いのが難…
豊かな緑が美しい、フェラン・セギュール(2003年クリュ・ブルジョワ・エクセプショネル、2008年クリュ・ブルジョワ)の敷地へ入っていきます。
シャンパーニュのポメリー社の前取締役がオーナーだそう。まさに、お城です。
緑に映える白い衣装のクラシックな楽団が生演奏。タイムスリップしたみたい…
2001年公開の映画「ハンニバル」でレクター博士がパリ・フォションのランチボックスに合わせていたのがフェラン・セギュールのワインだったとか。
ツアー参加者の方と一緒に、11杯めはグラスで。おいしい!飲み干してしまいました。
森を抜けて、再びぶどう畑へ。キャンピングカーを沿道に止めて、バンド演奏したり、家族で私設エイドを出したりしています。多かったのがコカコーラの給水所。フランスでは、水分と糖分が一緒に摂れるから、と、病気をしたときにもコカコーラを飲む、と「もやしもん」で読みましたが、本当みたい。飲みたいけど、胸やけしそうなので、飲まずにがまんして走ります。
メイネイ(2003年クリュ・ブルジョワ・シュペリエール、2008年格付け無し)は、修道院が所有しているシャトー。スクールで試飲して好きだったお手頃ワイン。ここに在るんだ~
いよいよ、左手に「薔薇色の丘」が見えてきました…かつて、この辺り一帯に、荒れ地に咲く薔薇色のヒースの花が咲き乱れていたのだそう。現在は一面ぶどう畑です。
すごい砂利道!下り坂は砂利に足を取られ、上り坂は歩くしかない感じ。坂の上には良いシャトー、坂の上には良いシャトー…
とうとう、最後のシャトー、モンローズ(2級)に到着!「サン・テステフのラトゥール」と評される、スーパーセカンドです。
シャトーは、丘の上の見晴らしが良い場所に建っています。
ん?サン・テステフ?ファーストのモンローズじゃないし、セカンドのラ・ダム・ド・モンローズでもない…どうやら、サードです。ファーストを大盤振る舞いするシャトーもあったのに…
複数のヴィンテージや、ファースト、セカンド用のワインをブレンドしているそう。謎のワインですが、この味ならお値打ち。12杯めもグラスでいただきました。
丘を下った先には青い空とジロンド川が見えます!35kmまで来ました~
ラスト5kmを切ったあたりから、ボルドー料理のフルコースが順に振舞われます。これは、ジャンボン(生ハム)のワゴン。制限時間が迫っているのにのんびり行列が出来ていたのと、さっき飲んだワインを消化中な感じだったので(要はちょっと気持ち悪い状態…)パス。
でもでも、ここまで来てフルコースを楽しまないなんて!と思い直し、前菜の生牡蠣を二つ、白ワインと一緒に。ボルドーのアルカション湾で採れる牡蠣が有名。ボルドーの人は生牡蠣にも赤ワインを合わせる、という噂もありましたが、やはり白でした。
次は、アントルコット(リブロースステーキ)のテントへ。残念ながら写真が撮れてなかったのですが、食べやすい極小カットのサイコロステーキを何切れか、赤ワインと一緒に、手づかみで!大音響のバンド演奏に合わせて踊るランナーたちは、もうトランス状態です。
チーズとカヌレが見つけられず(カヌレは、食べかけが沿道に落ちているのは見ました)、最後はデザートのアイスクリーム!この期に及んで、チョコレートとバニラ…食文化の違いでしょうか。ソーダ味のガリガリ君が恋しくなりました。
そして、ついに…
6時間40分38秒、7時間の制限時間ぎりぎり、レッドカーペットを踏みしめてゴール!!!
出場した8500人のうち、7354人が完走、順位は6601番め。一緒に出場した友人とはハーフ手前で別れて歩きはじめ、30km以降はほとんど歩いてたまに走る、くらいのペース。
おそらく、今年一番気合いの入ったグループがすぐ後ろから。彼らより先に行くか、後に行くか、周りのランナーと相談して先にゴール。この瞬間を間近で見られて感激!
ゴールした後は、完走賞をもらいにテントへ…
うさちゃんたちも大人しく並んでいます。
ワインは、「Le Medoc Je l'ai fait!(メドックマラソンを走ってきたよ!)」と書かれた木箱に入っていて、渡す人ももらう人も中身が何か分かりません。
ワインはシャトー・ブラウン(グラーヴ、ペサック・レオニャン)の2007年。近年、勢いを増し注目されているシャトーで、ロバート・パーカーも「目が離せない」と絶賛しているそう。あとは、赤い薔薇とメダルと紫色リュック。
一晩明けたら、また走りたい!と言う思いがふつふつと…一日でこんなにたくさんのシャトーを巡って、いろいろなワインを試せる機会なんて他にはありません。自分の足で走るので、シャトーや畑の場所や土壌の特徴もなんとなく頭に入ったような…
ワインラバー(あるいはコスプレマニア)にはおすすめ。ぜひ次回はご一緒しましょう!